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管理スペースでノンコンタクトタイムを実現する【川内すわこども園2nd】2

昨今、保育業界でも保育者の働き方改革が進みつつある。特に近年、議題に挙がるのが「ノンコンタクトタイム(NCT)」。
保育現場において通常の8時間の勤務時間内に発生する休憩時間とは別に、物理的に子どもたちと離れ、各種業務を行うことができる場所、時間を確保することが大切であると言われている。

幼稚園では職員の勤務時間よりも子どもたちが園に滞在する時間が短い為、
比較的ノンコンタクトタイムを確保しやすいのだが、保育園やこども園になるとそうはいかないのが現状である。

今回は、管理スペースにおける工夫でノンコンタクトタイムの確保を進めている幼保連携型認定こども園を紹介していこう。

鹿児島県薩摩川内市にある川内すわこども園2ndでは「保育者たちが笑顔で働ける環境づくり」をコンセプトの一つとしている。
保育園等の管理スペースは主に事務室、職員室、園長室、職員休憩室などがあり、各々独立した部屋となっていることが多いが、川内すわこども園2ndは管理スペースの機能を、扉を設けず1つのつながりのあるスペースとして設けている。

建物全体としては1階に0歳保育室、1歳保育室、ランチホール、管理スペース。
2階に2~5歳の保育スペース、アトリエと称する多目的ホール、午睡室を設けている。

玄関を入ると正面に2階につながる大階段、【D】には子育て支援ルーム、【E】には「tetote Café(てとてカフェ)」と名付けたCaféスペースがある。

tetoteCafeの先【F】には「BUSHITSU(部室)」と称した保育者の作業スペースを設けており、各種保育記録の作成、教材の準備や少人数でのミーティングなどに使用している。

BUSHITSUの先【G】には「保育Labo(ラボ)」と称した事務・職員スペースがある。ここは自席を決めないフリーアクセススペースとした。

個人の書類・教材等は移動式キャビネットに収め、自身のキャビネットを移動して、空いている席を利用し作業をしている。
座る席によって、毎日、目に入る景色や先生たちの顔ぶれが違うため新鮮な気持ちで仕事に取り組むことができているそうだ。

また、2階の2~5歳の保育スペースにも扉を設けていない。1つのつながりあるスペースとし、異年齢間の交流が自然とおこなわれている。

子どもたちの保育スペースと大人が使用する管理スペースをゾーニングすることで、豊かな保育環境とより良い労働環境づくりができたと考えている。

最後に、ノンコンタクトタイムの確保は子どもたちと直接かかわるコンタクトタイムをより充実したものにするために重要であり、さらには保育者同士の連携や安全な保育を行うためには必要不可欠と言っても過言ではない。
今回も、それを体現できる素晴らしい施設の園舎設計に関わらせていただいた。

この記事で紹介されている園・施設
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