こどものための認定こども園・幼稚園・保育園

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【2分で読めるコラム】ドイツの園庭2

私たちの事務所では、(公財)日本生態系協会が企画し毎年行われるドイツの園庭づくり視察ツアーに参加しています。日本において、平場に遊具が並ぶだけの園庭から、豊かな自然と融合した遊びの環境づくりに時代がシフトしようとしている中、それを突き詰めたドイツの園庭の姿は示唆に富んでいます。

このツアーでの様々な見聞や園庭の空間体験は、その後の私たちの園庭提案のあり方に背骨となるビジョンを提示してくれています。

ハーブルク森の保育園・幼稚園(ハンブルグ市、定員44名)
遊びの拠点を森の中に置く「森の幼稚園」は1950年代にデンマークで生まれました。
環境教育や自然教育に熱心な保護者だけでなく、その発育効果に関心を寄せる研究者や自治体なども注目するようになり、現在ドイツ国内には様々な形態のものを含めて2000箇所近くもの「森の幼稚園」が存在します。

園舎から徒歩で5分ほどの距離に広大なブナの森があります。広い森の中でも先生の目が届く範囲で遊ぶことがきちんとルール付けられているといいます。

枝で覆われた隠れ家。森の所々にこうした子どもの居場所がありました。
園庭は子どもたち自身が自発的に活動し、自然の中で自ら様々な遊びを見つけ、体験や発見をするべき場所と位置付けられており、「遊園地のような」大人がこう遊べとお仕着せする世界ではいけないと考えられていました。
子どもたちが自由に発想できる余地をあえて残す、つくり込み過ぎない、という抑制が効いていると感じました。

そのかわり、動植物がつくりだす自然環境づくりには徹底的なこだわりがありました。
子どもたちに可能な限り本物を与えたいという強いこだわりでした。日本の都市部では法規上必要な緑の量「緑化率」を満足することに汲々としていますが、彼らは当たり前に量から質、「生物多様性」に踏み込んでいました。

参加者の中からは「日本では園庭で運動会をしなければならないから」「幼児教育の現場にも成果が求められ、子どもの自発性だけでは不十分」「園地面積に対する子どもの人口密度が全然違う」などの「現実」を踏まえた声も聞かれました。そうであるからこそ、一園ごとに理想とコンセプトが必要なのだなと痛感した旅でした。

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