色使いの工夫1【ディック・ブルーナ】
子どもは生まれて3~4ヶ月くらいから色の認識が出来るようになり、個人差は当然ありますが、1歳半くらいには10~20色ほどの色を識別出来るようになると言われています。
幼少期の色の経験は子どもの色彩感覚を育て、感性が磨かれます。また多面的な視野が育ち、刺激を受け脳が活性化することに役立つとされています。
そこで今回は私たち時設計が日々、園舎を設計する上で取り入れ、模索している「色使いの工夫」について実例をもとにご紹介いたします。
ブルーナ・コンセプトの色使い
世界中のこどもたちに愛されている「ミッフィー」の作者として知られるディック・ブルーナ。
彼のデザインにおいて最も重視されるのは、シンプルであること。
極限まで「むだ」を省き、シンプルを極めたブルーナ氏のデザインは、意図的に「余白」を生みだします。
そのねらいは、余計な装飾を排除することで、見る人に「想像」の余地を残すこと。
デザインする側がその作品の「意味」を限定するのではなく、見る側や使い手が自由に「意味」を「創造」できるデザインとなっています。
ブルーナ氏の世界で見られる特徴の一つに、少ない色づかいがあります。基本的には、赤、黄、青、緑の4色で、それが世でいうところの「ブルーナカラー」。これらそれぞれの色には、違った意味が込められています。
また、彼の世界においては「茶色」と「灰色」もしばしば登場しますが、これはこいぬやこぐまなどの動物を描くために追加された色です。
ブルーナ氏のデザインにおいては、人や動物、植物や空、家など、あらゆるものがこの4色+2色のわずか6色で成り立ち、それぞれに込められた「意味」から構成されています。
私たちはブルーナ氏のそのような考えに感銘を受け、園舎設計では日本で初めて株式会社ディック・ブルーナ・ジャパンの公式ライセンスを取得しました。
日々子どもたちが生活する園舎において、「余白」が生み出す創造性や「色」から受ける感性を育てたい、それによって園舎のありかたはさらに拡がり、こどもたちの感性をより豊かに育むための一つの選択肢になると考えています。
写真は、ブルーナ氏のデザインコンセプトを取り入れた事例です。
・白を基調とした「余白」中に効果的に「色」を配色して子どもたちの「なぜ?」を誘発します。
・全体をブルーナカラーの赤で配色し、子どもたちを暖かく迎え入れるエントランス。