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木造園舎のあたたかみ2【触覚の効果】

私たちが外の世界を感じ取る時、五感による情報摂取能力としては、視覚87%、聴覚7%、嗅覚3.5%、触覚1.5%、味覚1%といわれておりますが、住空間など対象物が空間的に近い場合には、特に視覚・触覚が大きな要因となります。

木造や木質系の素材を多く使った建物では、室内に表れる木の赤みを帯びた黄色が色相として温かみと親しみを醸し出し、木の表面がもつ光の反射を抑える効果と、木目による均一でないゆらぎがさらに視覚的な心地よさを与えてくれます。

また「木」は触覚においても大きな効果を私たちに与え、寒い冬に木に触れても冷たく感じるのは一瞬ですぐに馴染むことや、濡れた手で触っても水を吸収し不快な感じがしないのは、「木」の持つ熱伝導率や吸湿性などが影響しています。

先程、「木」による触覚への影響について触れましたが、木製の床材を使用すると子どもたちが、床にそのまま座ったり、寝転んだりと、大人が促さずともするそうです。例えば、コーティングしていないオイル仕上げの無垢フローリング材は、素足との相性もとても良いです。

最後に木造耐火建築物の園舎の例です。近年、世界的な環境問題や日本国内の豊富な森林資源を利用する等の経済状況を鑑み、政府は中規模木造建築物の普及を進めています。

上の写真は、2階建ての園舎を木造耐火建築物として建設した事例。(室内の樹木は、建設時に伐採されたもの。)構造体を被覆すること以外は通常の木造と大きくは変わりませんし、写真のように内装材として「木」を利用していくことが可能です。

これからの時代は、国内の有用な資源としての「木」を有効に使い、より一層建物に「自然」を取り込むことが求められるように思います。「木」がもたらす雰囲気は、時に「自然」としての厳しさもありますが、柔らかく、なんとも優しいものがあります。園舎設計においても園舎が子どもたちの居心地の良い第二の家となるように工夫をし続けていきたいと思います。

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