• こども建築

木造園舎のあたたかみ1【木の特性】

私たちが園舎設計をする上で最も大切にしたいと考えていることは、子どもたちにとって長い時間を過ごす園舎は第二の家のようなものであるということです。
ご飯を食べるところや寝るところ、遊ぶところも初めて一人でトイレに行くのも、家の次に園舎ということになると思います。

この日本では気候風土に根ざしたものとして、「木」で家を造ることを主としてきました。
そういった自然に身についている感性の影響もあるでしょうが、私たちにとって木造の建物というのは、とても親近感のわく、心が安らぐものとして捉えていることが多いと思います。

「木」が持つ調湿、保温効果は、人が心地よく住まうための住空間に古くから世界中で利用され続けてきました。
日本では資源として利用しやすいこともありますが、住空間においての「木」は、人が安らぎを得る大きな要因であり、子どもたちが日々過ごすもう一つの家である園舎においても積極的に取り入れ、居心地の良い場所となるよう思いを巡らせていきたいと考えています。

「自然=木」こちらの2例は、建物の構造体である梁(屋根を受ける骨組み)を室内にそのまま表しで見せている例です。空間としては広いスペースですが空間全体が「木」に囲まれているような親密さがあり、身近な素材でもある「木」で組み上がった屋根・天井は(建物自体も)、繊細さや力強さを感じ、漠然として与えられた空間というものに対して少し親しみを持って受け入れることが出来るかもしれません。

こちらは木造園舎内に設けた土間空間。園舎を細長い土間が横切っているので、向こうに行くためには、子どもたちは木の板で造った橋を渡らなくてはなりません。
天井が高く、屋外のような動きのある造りの場所であるが、建物の構造体や内装材に「木」を沢山取り入れているためか、大きな寺院のようなおおらかで自由なスペースとなっています。

これからの時代は、国内の有用な資源としての「木」を有効に使い、より一層建物に「自然」を取り込むことが求められるように思います。

「木」がもたらす雰囲気は、時に「自然」としての厳しさもありますが、柔らかく、なんとも優しいものがあります。園舎設計においても園舎が子どもたちの居心地の良い第二の家となるように工夫をし続けていきたいと思います。

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