こどもたちの感性を育みながら成長するビオトープ
2017年3月竣工の、千葉県船橋市にある“古和釜幼稚園”。今回は園庭設計のコンセプトの一部をご紹介します。
時間をかけて発達してゆく園庭のビオトープ
ビオトープといえば、沢といった「水辺」のイメージを抱く人は多いかもしれません。しかし本来のビオトープの定義は、「その土地の動植物が生きていること」と、「生態系が循環していること」、この2点にあります。古和釜ビオトープにおいては、既存樹木や土質など、幸いにもビオトープとしての良い条件がそろっていました。農薬などを使わないことで、たくさんの虫や微生物が集まり、健全な生態系が存在し、絶妙な均衡が保たれている。私たちが植えた生態系がどんどん成長して、土地の風土に溶け込み、ますます発展してゆきます。
ビオトープの成長過程から感性を育む
現在は生態系が育っている最中ですが、苔が適度に生えてきたら貝類を池に放し、いずれはホタルを自生させたいと考えています。今は走り出しの時期だからこそ、定期的なメンテナンスが必要ですが、生態系が成長し、自然に木陰などがつくられてゆけば、手入れはのちのち必要なくなるでしょう。こどもたちが、ビオトープが成長するその過程から、「センス・オブ・ワンダー」の感性を育んでくれることと信じています。
設計士:菊地 宏行