愛着を育む改修。門扉の改修提案。【ふじみ幼稚園】
少子化が進む現在、競争はより一層厳しいものになる可能性があります。長く選ばれ続ける園にしていくためにも、他園との差別化を図る必要があります。
差別化のポイントとして、各園ならではのオリジナリティが求められていくように感じます。我々はそこに子どもの思いや保護者が子どもを預けたいと思う環境をかたちにしているのか、職員が働きやすいものになっているのか、地域・場所に馴染む愛されるデザインになるように心がけています。その環境の整備としての「リノベーション」によってさらに愛着をもてるようなデザイン提案をした埼玉県の「ふじみ幼稚園」の門扉の改修提案を紹介したいと思います。
未就園児教室や預かり保育など、保育の形態の変化に伴い、今までは通用口として使っていた通用門を、第2のエントランスとして改修する案です。
園を訪れる際、必ず通過する門扉は園の顔となり、物理的に敷地外部と境界をつくる門は、セキュリティの面で気を付けなければならないことがあります。こちらの場所は、門扉の前が駐輪場と駐車場となっていたため、安全性を考慮し、内外どちらからも見通せる門扉を採用しています。また、トップライトをつけたエントランス屋根で下を明るく照らし、人の所在が分かりやすいようにしています。
デザイン面では、今まであまり使われていない通用口で設備置場にもなっている場所でしたので、備え付けられている受水槽をブリキのロボットに見立てて、子どもたちを迎える遊び心のあるデザインとしました。エントランス屋根は、既存の外壁のピンクに合わせ、調和をとりながら園のイメージを際立たせるようにしています。
改修前
改修後
日々求められている保育の内容が変化していくように、園舎においても変化に対応して使いやすいようにリノベーションすることによって、イメージアップしていくことができます。今ある園舎をリノベーションすることは、サステナビリティの観点からも今度さらに重要な考え方になっていきます。
また、建物を活かし、思い出を繋いでいくことで、より一層今の園舎への愛着を育むことができる点は、新築とはまた異なる魅力を生み、長く選ばれ続ける園の要素となっていくのではないでしょうか。少しずつ思い出を重ね、園を利用する子どもや先生方、そして地域の環境に馴染み、子どもたちの成長とともに、建物も一緒に「育つ」ものでありたい。日々、そう願いながら設計しています。