園の理念や個性が表れやすい園庭の改修1
設置基準では必要面積だけが規定され、施設整備においても原則的に補助対象外とされている園庭。
こども達の育ちに極めて重要なこの屋外環境の中身をどの様に整えるのかは園の裁量に委ねられています。そのため園ごとに力の入れ方に差が出やすく、園の理念や個性が視覚的に表れやすい、それが園庭の面白いところではないでしょうか。
「狭い園庭だが何ができるか・・・」
都市部で園庭面積に限りがあるような場合は、何か園独自のテーマを抽出し、それに徹底的にこだわる園庭づくりで特色を出すことが効果的だと考えます。コンセプトやテーマを定めることは、対外的に発信しやすくなると同時に、長期的な環境整備の礎となります。テーマ選定には先生方を中心に、時に保護者や園児を巻き込んだワークショップで意見を出し合い、園庭づくりを一つのイベントとするのが最近の好ましい潮流です。
この際、どうしても明確にしなければならないのが運動会を自園開催するのかどうかですが、年一度の運動会のために平坦なグランドを確保することが本当にこども本位だろうか?という問題意識は徐々に広がりを見せています。都市部のあまり広くない園庭において、運動会開催という制約を外すことは園庭の自由度を飛躍的に高める契機となります。
次に都市部の園庭に欠かせないのが植栽の充実ではないでしょうか。緑の量を増やすことは都会に暮らすこども達の情操、心の安寧に大きく貢献します。落ち葉対策等の理由で都市部の児童公園の樹木が無残に枝打ちされている姿が散見される昨今、園庭という最も身近な環境で自然を感じる、四季を感じる緑の存在価値は高まっています。そして狭い園庭でいつも留意しているのが、遊びや景観を立体的に展開することです。
例えば外周部に大小の築山が連なる起伏に富んだ地形をつくり、高木を植えることで立体的な景観をつくることが出来ます。その中に小さいながらもツリーハウスのようなランドマークをつくれれば園庭の風景が一層整います。築山やツリーハウスへのこども達の縦の動きにボルダリングやネット上り、すべり台、ポールなどの遊びの要素を組み込む事で立体的な外遊びが展開します。
築山に土管のトンネルをつくったり、築山同士を吊り橋で繋いだりすることで遊びの動線を立体交差させるのも定番手法です。