• こども建築

特別なスペース依佐美清凉保育園の場合

今回、特別なスペースのある園舎として、愛知県刈谷市にある「依佐美清凉保育園」(定員135名)をご紹介します。

依佐美清凉保育園 図書館、和室、外部キッチン

愛知県刈谷市の依佐美清凉保育園は新設の保育園であり、園の先生からは、「特徴のあるスペースを設けた保育園にしたい」とご要望がありました。

まず「本を読めるスペース」として、1階園舎の一番奥に40㎡の円形図書コーナーを設けました。
ベンチを部屋の中心に円形に設置し、本棚もベンチをぐるりと囲むように円形にデザインしました。
本棚は窓面に向け外向きに設置したため、中央ベンチにひとたび腰を下ろすと緩やかに閉じた空間となり、本を読むことに集中することができます。

次に「礼儀・作法を学べるスペース」として、「本を読めるスペース」の2階部分に同じ広さの丸い和室を設けました。
こちらの床には畳を敷き、茶道の作法など和を学べるスペースとしました。

最後に紹介する「食育を学べるスペース」は、こどもたちが園舎の屋外にある畑で種まきから収穫までを行ったあと、自分たちで調理を行い、食べるという食育体験ができるように設けた16㎡の屋外キッチン、通称【森のキッチン】です。

【森のキッチン】も上から見るとほぼドーナツ形で、大人とこどもが分かれて作業できるよう、箇所によって作業台の高さを変えて設計しました。
ドーナツの穴の部分には大人が入れるスペースがあり、こどもたちの作業を対面で見守ることができます。流し台もこどもが使える高さに設計しました。

今回ご紹介した「特別なスペース」は、通常の保育室、教室、トイレや沐浴室など、国が定める設置基準のスペースにプラスして設置しているため、設置するには土地の広さに余裕がないと難しいと思われがちですが、廊下などの共有スペースの一部に図書コーナーを設置したり、調理場の壁を透明にしてこどもたちに見えるようにし食への興味を促すなど、ほんの少しの工夫を施すことで、ある場所を「特別なスペース」とすることができます。

こどもたちがそれぞれのスペースで様々な体験をすることにより、学び、達成感や満足感を得て、自己肯定感を高め、日々の成長につながっていくことを願っています。

この記事で紹介されている園・施設
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