保育室や絵本コーナーの工夫【韮川こども園】
群馬県太田市は、市内の老朽化した保育所、幼稚園等の幼児施設について、市の施策として約20年間にわたって計画的に建て替えを支援、推進してきました。
今回紹介する「韮川こども園」(定員170名)と「Kids Islandうちがしま」(定員120名)は、どちらも近年に建て替えを行った、太田市内では中規模の幼児施設です。
保育室の採光
保育室は、子どもたちが日常の大半をすごす空間です。
一日の流れに抑揚をもたせるために、同じ保育室の中に天井高を抑えた住宅スケールの空間と、開放的な吹き抜け空間とを設け、こどもたちが「静かに落ち着いて過ごす時間」と「活動する時間」とで、メリハリをもって過ごせるように工夫しています。
韮川こども園、Kids Islandうちがしまの両園とも、園舎の南東に配置された園庭に対して廊下を挟んで保育室が面しており、直接外光が入りませんので、採光を確保するために、天井の高い部分には、上部に開口部を設けています。
配置上、やむを得ず園舎の北西側に配置された保育室も、北側のハイサイドライト(高窓)から安定した外光を取り込むことで、明るい保育空間を実現しています。
特別な絵本コーナー
保育空間には、保育室、遊戯室、ランチルーム、便所が基本の諸室として挙げられます。
集まる、遊ぶ、食べる、寝る、身支度といった日常の基本的な活動を行います。Kids Islandうちがしまでは絵本コーナーを設けて、日常とは少し違う特別な空間として位置付けています。
小さい空間で、大勢から離れてこもれる空間であり、少人数で先生の読み聞かせが聞ける特別な空間であり、家に帰る前、お迎えに来た保護者とすごす親子のための特別な空間にもなります。
ここで読み聞かせしてもらった空想の世界や、それを想像した経験は、こどもたちの記憶の中に生きつづけます。
今回ご紹介しました園舎内の床や天井の仕上げ材や家具、建具には木材を積極的に活用しています。
園舎内の各所から取り込んだ光が、「木」とあいまって保育空間をやさしく包み込み安らぎをもたらすとともに、健やかな感性を育んでくれます。
木のぬくもりにあふれた心地のよい様々な空間で、こどもたちが自由な発想で独自の世界をひろげて成長していくことを願っています。