共用部にこどもたちのサードプレイスを2【今寺保育園】
園舎の個性は共用部に表れるとよく耳にします。
共用部にこどもたちが楽しく集える場所や仕掛けを散りばめる事で、こども同士のコミュニケーションに対するモチベーションが高まります。
共用部を単なる移動や滞留の場と見るのではなく、保育の4領域である「空間」「時間」「コミュニティ」「方法」を当てはめることで、こどもたちが園舎内で過ごす時間が格段に豊かなものになるものと考えます。
今回は、共用部にそうした場を組み込んだ実例をいつくかご紹介したいと思います。
踏み面(階段1段の奥行寸法)を狭い方(内側)で30cm以上を確保することにより安全で上りやすい螺旋階段をつくることが出来ます。
この階段の中心部に円筒型の空間が生まれ、面白い共用部をつくることが出来ます。
熊本学園大学付属敬愛幼稚園はこの部分を二層吹抜けのこども図書館としています。
丸い壁面に沿って書架を並べ、中央の床を階段状に下げ読書用のベンチとしています。
外周を廻る螺旋階段の踊り場に向かって、図書館側にも螺旋階段を廻し、そこも階段状の読書スペースとなっています。
一方、認定こども園龍の子幼稚園ではこの部分を、一階をこども図書館、二階をボルダリングなどの遊びの空間としています。
遊びの空間は、床に厚いゴムチップを敷き詰め、壁面にカラフルなボルダリンググリップを配置、それを上り切った上空にハンモックネットを架けています。
ハンモックネットにたどり着くことが出来たこどもたちは、地上7mの高さから園庭全体を俯瞰することができ、達成感を味わえる仕掛けとしています。
一階こども図書館と二階の遊びの空間を繋ぐ「もしもしパイプ」により、姿の見えない相手と会話する楽しさもあります。天井には集光ドーム型のトップライトを設け自然光を採り入れています。
ここでご紹介したのはほんの一例ですが、園舎設計において、共用部をいかに豊かにするかを常に考えています。
保育室でもない、園庭でもない、こどもたちの第三の居場所(サードプレイス)を散りばめることは、こどもの動きをイメージしながら進めるとても楽しい作業です。