色使いの工夫2【浦和つくし幼稚園】
子どもは生まれて3~4ヶ月くらいから色の認識が出来るようになり、個人差は当然ありますが、1歳半くらいには10~20色ほどの色を識別出来るようになると言われています。
幼少期の色の経験は子どもの色彩感覚を育て、感性が磨かれます。
そこで今回は私たち時設計が日々、園舎を設計する上で取り入れ、模索している「色使いの工夫」について実例をもとにご紹介いたします。
素材を生かした色使い
色にはそれぞれ異なった刺激・イメージが有り、多くの「色」を見て感じることで、子どもたちは様々な刺激を受けます。「色」や「素材」の違いを感じることで、モノの微妙な違いを観察したり、発見したり。
それらの感性は生きていく上で大きな助けの一つになると考えています。幼少期の「色」や「素材」の経験、慎重に考慮して園舎設計に取り入れていければと考えています。
ここで弊社が設計監理を担当した浦和つくし幼稚園さんの例をご紹介します。
園舎づくりの基本コンセプトは、木やガラスなどの天然素材の良さを生かすこと。
各クラスの床材はこどもたちの体が直接触れる部分であり、園舎内の印象を決める重要なパーツ。
落ち着いた雰囲気がありながらこどもの感性を刺激する配色、天然素材、耐久性といった点から「リノリウム」を採用しました。
ここでは使用する床材「リノリウム」を年齢ごとにテーマカラーを決めて、「色」による効果を取り入れました。
4歳児保育室は「緑」、安心感や調和を表し気持ちを穏やかにし、相手との関わりの中から客観性を身に着け、外の世界に目を向けることで様々な興味を与える場所。
5歳児保育室は「青」、集中力を高め気持ちを落ち着かせることで、子どもたちが主体的にしたいこと、すべきことを見つけ、想像力を伸ばしていける場所。
それぞれの年齢に応じた発育段階を設定して、子どもたちの成長を促す空間をつくることを目指しました。
また遊戯室のホールの床材「リノリウム」も同じく、子どもたちが床に落書きをするように自由な曲線で色分けをしています。「色」は与えられるものだけではなく、「色」は与えるものでもあり、「色」は自分の思い通りに付けられる。子どもたちにそんな思いを感じ取って欲しいという気持ちをデザインに落とし込んだ事例です。
幼少期の色の経験は子どもの色彩感覚を育て、感性が磨かれる大切な時期です。園舎設計を通じて子どもたちの気付きに少しでも役にたてばと、日々思いを巡らせています。