幼稚園の中庭・ビオトープ環境2
現在、開発などで失われた自然環境を取り戻す運動があちこちで行われている。小学校や幼稚園、保育園、認定こども園でも、できる限り自然環境を生かした校庭や園庭づくりや園庭改造が行われている。
本園の園舎は8m×16mの中庭をぐるりと囲むように廊下や保育室が配置されており、その中庭は人工池や豊かな植栽で構成され、中庭から園舎に入る自然光や風は従来から快適な空間であった。しかし今回、人口池の老朽化などが進んだため、中庭の半分8m×8mを改修するととなり、ここにビオトープ環境を作る計画に至った。
今回の古和釜ビオトープでは、雑草と呼ばれる草木がないことを子どもたちに伝えるため、中庭ビオトープには野草の中でも特に日本の在来種を集める事とした。
「在来種の野草」と一口に言っても、どの種類をどれほど植えるのか、またどの様にして揃えればよいのか。また植えた後の維持、管理の方法も含め検討を重ねた。
この中庭は周りを囲む3方面全てが全面ガラスで覆われており、園舎の玄関を入った正面、エントランスホールに位置している。登園してくる子どもたちの目に飛び込んでくるこの場所は、ガラスの外からも様々な角度から観察ができる。さらに近くで観察できるよう、中庭の中心には遊歩道を走らせた。また、水の流れを感じられるS字カーブのせせらぎを作り、その途中には支流を生ませることにより、自然池に近い環境を表現した。
植物を植えただけでは、庭の「完成」ではない。植物や生き物がそこで育ち、子どもたち、保護者、先生方、みんなでこの中庭ビオトープを引き続き育てることで、その成長や変化がもたらしてくれる感動やワクワク感がさらに多くの笑顔を生む。古和釜ビオトープがこれからもずっと、そんな中庭ビオトープであり続けることを願っている。