こどものための認定こども園・幼稚園・保育園

安全面を考慮し、10cm角の網目の上に5cm角のネットを重ねた。ネットを2重にすることで子どもたちの足が抜けないようにした。また、ここはイノシシが出る地域である事と子どもたちの安全を考え、敷地周囲にはフェンスを建てた。ぐるりとフェンスに囲まれた敷地内を子どもたちが周回できるように、きつい斜面には丸太の階段を作りアップダウンある散策路を設けた。階段を登り切った先、山の頂上には小屋を設けた。そこから古里の山全体を見下ろすことができ、急な階段を登り切った達成感と満足感を得られる。

散策路の横には小さなビオトープも作った。この敷地の脇には昔から沢水が流れていて、その水を利用したビオトープである。中にはメダカやカワニナ(貝)を入れた。昔はこの周囲にはホタルが飛んでいたそうだが、今では一部の場所でしか見られないらしい。園では、昨年からビオトープにホタルの幼虫を入れ、ここで成虫にまで育ってくれることを願い、観察を続けている。

庭の低い位置には「うねうね滑り台」を設け、子どもたちは毎日急な階段を駆け上り、楽しく遊んでいる。この滑り台だけはステンレスの金属を使用しているが、その他は木材と擬木を使い自然の景観の中にとけ込むような材料と色使いとした。

生態系を崩さないように庭全体には在来種の植物や草花を植えた。春になると草花が目を出し、夏にはそれらが豊富に被いしげり虫たちもやってきて、日々十分に季節を感じられる庭づくりとなっている。じっと自然を観察しても良い、アクティブに走り回っても良い。子どもたちが思い思いに遊べる庭を計画した。

平らな園庭も広げていきたいが、出来ない。それならばと園舎横の斜面を利用し、できるだけ自然のままの環境を残した「森の庭」を増やしたことで、子どもたちの行動範囲が広がり、さらに「子どもたちの体力が飛躍的に向上している」と園長先生よりご報告を受けた。この庭で過ごす時間の中で培われる探究心は、子どもたちが将来携わるあらゆる分野で大きな原動力となって発揮されることを願っている。自然のある空間で友達と遊び、身体を目一杯動かす直接体験は子どもたちの成長過程においてとても大切な獲得プロセスである。

走って転んで笑って泣いて。完成したのは、大人になっても忘れられない「古里っこぼうけんの森」。

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