次に、東京都板橋区所在 社会福祉法人永寿荘 大山西町保育園は、区の民間委託の公募によ る新築計画の保育園であり、やさしい、温かい、友好的な、親しみのある… 「Friendlyやさしさをカタチに」 をコンセプトにした園舎である。
階段は、建築基準法上、踏面、幅、蹴上と規定があるため守らなければならない制約があるが、園舎のシンボルになるよう設計したこの階段は、幅をおおよそ1800 mmとゆとりを持たせ、踏面幅を450 mm、蹴上150 mm以下とした23段の緩やかな階段となっており、つまずきの原因となる踏み面の突起をなくし、小さな子ども、保育園の催しで訪れる園児たちのおじいちゃん、おばあちゃんにも上り下りが楽で、コンセプトに通ずるやさしい階段となっている。同じく、保育園で働く先生たちにも、上下階へ移動する時にかかる腰の負担が軽減するよう考慮している。
木を基調とした階段をあがりながら開口から差し込む自然の光を浴び、その開口部から眺める隣地の公園の緑がピクチャーウインドウとして効果をもたらし、ゆったりと時間が流れる特別な場所として、この場所をこもれび階段と命名した。
開口部の反対の壁は、対照的に閉鎖部分がある為、踊り場から1階の廊下が見える覗き窓の仕掛け、空色をした色ガラス窓を施している。
日が暮れた時間帯には、階段の吹き抜け上部のペンダントライトが、空間を温かく照らし、日中とはまた違った演出をもたらしてくれる。ペンダントライトも万が一、落下した時に危険が無いように、ダンボールで作られた軽い素材のものを選定し、ここにもやさしさを配慮している。
子どもたちと先生との何気ない会話が聞こえてきそうな、保育園に通うみんなの友好をつなぎ合わせ笑顔になる空間として設計した階段だが、ここに通う子どもたちの思い出の場面と共に、保育園を訪れるすべての人の印象に残る空間であったなら嬉しい。
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