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レッジョまみれ IN イタリア vol.02(市街地見学編)

第12回 欧州視察 (イタリア) 251026-251103

251025 – 251031

海外最新保育事情視察ツアー 2025

「レッジョ・ネレミリア」はイタリアの北部、エミリア=ロマーニャ州にある内陸の街です。
上空から見ると六角形をしたレッジョ旧市街には、16~17世紀の建物が立ち並び、美しい景観を保っています。
チーズの「パルミジャーノ・レッジャーノ」で有名なこの街では、どのような環境で子どもたちの教育が行われているのでしょうか。

Milano Centrale(ミラノ中央駅)
ミラノ ロンバルディア州 )

ファシズム時代からの建築が生きる街

ミラノ中央駅は、1931年に完成したイタリアでは2番目の利用客数を誇るターミナル駅です。ファシズム時代の威厳を放つ巨大なスケールと、アール・デコやリバティ様式による装飾的な美しさが組み合わされています。

ファシズムの指導者ムッソリーニの時代には、彼と追随するファシストらが必要としたためにファシズムを象徴するリットリア様式の建築物が多く造られました。中でも目立つものがミラノ中央駅舎ですが、ムッソリーニの負の記憶がそうさせるのか、地元の人々の評価は賛否両論あります。しかし、かの建築家フランク・ロイド・ライトに「世界で最も美しい鉄道駅」と言わしめただけのものはあり、後世に存続させていく価値のある建築には違いありません。

また、駅前にはLa Mela Reintegrataという巨大なリンゴの形をしたオブジェがあります。齧られた痕を縫合した姿は、自然と科学との融合を表しています。Appleもいいけどイタリア産を使おうという裏コンセプトもあるとかないとか。

さらにミラノ中央駅の近くには「エクセルシオール・ホテル・ガッリア」という高級ホテルがあります。イタリアのデザイナー「マルコ・ピヴァ」により全面改修された、伝統的なリバティ様式と現代が見事に融合された建築です。

ミラノ中央駅以外も、イタリアの駅舎はどれも個性豊かで、一見の価値があります。

ミラノの大聖堂(ドゥオーモ)とガッレリア
( ミラノ ロンバルディア州 )

600年以上前に着工したミラノのシンボル

ミラノ大聖堂は世界最大級のゴシック建築であり、街の象徴ともいえる存在です。全長158m、幅92m、高さ108mの威容を誇り、1386年着工後、5世紀もの歳月をかけて多くの芸術家によって完成された結果、その長い歴史の中で様々な建築様式が融合されました。屋根の上には大小合わせて135本の尖塔が林立し、そのすべてが繊細な装飾で彩られています。尖塔の天辺ひとつひとつには聖人の彫像が施され、信仰と芸術の融合を物語っています。

ミラノ大聖堂広場とスカラ座を繋ぐガッレリア(回廊)は、当時歴史的地区の再開発プロジェクトのコンペにより選定されたボローニャの建築家ジュゼッペ・メンゴーニによって設計され、1877年に完成しました。

新古典主義の建築と、近代の鉄骨やガラスを組み合わせたアーチ型のガラス天井によって構成されており、南北200m、東西100mの巨大な十字型の回廊が特徴的です。床にはモザイク画、天井にはフレスコ画による装飾が施され、ミラノの都市空間のシンボルの1つとなっています。

最後の晩餐、サンタマリア・デッレ・グラツィエ教会、ドミニコ会修道院
( ミラノ ロンバルディア州 )

有名壁画や歴史的な建築と暮らす街

イエス・キリストと12使徒による「最後の晩餐」を題材にした壁画は、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品の1つです。420cm×910cmという巨大な壁画は、ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院の食堂に描かれたもので、これを所蔵する教会とともに1980年に世界文化遺産に登録されました。

フレスコ画の壁画は通常、漆喰壁が柔らかいうちに絵を描き上げて顔料を定着させますが、遅筆で有名なレオナルドは、漆喰が乾いた後にテンペラ画の技法(キャンバスや板へ油彩画を描くような重ね塗りの技法)で描きました。その結果、壁画は経年による浸食や顔料の剥離が進行したため、これまで数度にわたり修復が行われました。直近の修復は25年程前に行われ、500年前のペイント方法(点描)や顔料を研究して再現されています。

イタリア証券取引所のアファリ広場に建つ大理石の像は、マウリツィオ・カテランによって製作された「L.O.V.E」という作品です。中指を立てる形からLOVE(愛)は想像できませんが、自由、憎しみ、復習、永遠という4つの単語の頭文字が作品名の本当の意味です。

上の写真はミラノにあるイタリアの文部科学省の建物です。入口の扉は背が高く、車や人と比べてもかなりの大きさですが、これは昔馬が出入りしていた名残りなのです。

上段はスカラ座で、横からのアングルを特に重視して建てられたと言われています。スカラ座とミラノ市庁舎(下段中央の写真)との間に立つレオナルド・ダ・ヴィンチの像は、政治(市庁舎)に背を向け、芸術(スカラ座)を向いて立っていると言われています。

ここはかつて小学校だった場所です。イタリアの小学校にはバルコニーが見当たりません。

BAM-Biblioteca degli Alberi Milano
( ミラノ 再開発エリア )

自然と共生する再開発

「ポルタ・ヌオーヴァ」と「イゾラ」は、ミラノで初めて環境と共生、そして持続可能性をキーワードにした高層ビル群が建設された再開発エリアです。自然と触れ合いながら文化体験でき、都市の中の新しい息吹を感じます。

Vertical Forest(垂直な森)は、「植物たちの家、そして人と鳥たちの家」というコンセプトのもと、イタリアの建築家ステファノによって設計され、2014年に竣工されました。110m/26階建てと76m/18階建てのツインタワーです。

人の生活だけでなく、人と生き物との関係性を大切にしながら、生物多様性のある建築を目指して創作されました。建物に植えられた木が約5800本、植物に至っては約15000本という多数の植物は、太陽光を適度に跳ね返す役割があります。断熱と湿度調整を担いつつ、建物全体で年間に約30トンの二酸化炭素を吸収し、約19トンの酸素を生み出しています。

植物は管理会社が管理していますが、窓を空けると木や虫が室内に入ってくるなどの問題もあるようです。

何世紀も前の人々が、今日の街を創っている

イタリアの街は、古い建物と新しい建物が融合された空間でした。古い建物には、数百年前の人々が考えた意味や記憶、祈りなどが込められ、今でも大切にされています。その一方で、現代の価値観に合わせた建物も多く生まれ、新しい世界を創り出している部分もあります。

ミラノに行って感じたのは、イタリアに住む人々が、何世紀にも渡って一緒にひとつの街を創っているようだということです。500年前の人、300年前の人、100年前の人、そして今日を生きる人。直接顔を合わせることはできませんが、芸術的で素晴らしい街にするという気持ちは、イタリアの人々によって大切にリレーされてきました。

日本は、都会のように次々と開発されて変化し続ける場所と、大切に保存される地区に明確に分かれています。街が変わると雰囲気が違うという面白さはありますが、昔の人々と一体となって街を創るイタリアの人々は見習いたい点のひとつだと思いました。