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【コラム】「ディティール」と「素材」へのこだわり2

建物の「ディティール」は、つくり手の「愛情」の表れ

ディティールにこだわることは、その建物に対しての愛情みたいなものだと考えているところがあります。「せっかくこの材料を使っているなら、こんなふうに見えたらカッコいい(かわいい)!」、「こんなふうにしないと危ない・壊れやすい」、「こうすると便利」など、建物に対する愛情が、その建物のディティールに生きてくるのです。まずは、「つくり手」である設計者自身が建物に愛情を注がないといけないと考えていますので、一生懸命形作っていくというのは、建物に対する愛情表現のつもりです。

各部分の寸法についても、同じことがいえます。寸法によって、その部分の印象や安全性、使い勝手がmm単位で変わってしまいます。とくに幼少期のこどもたちは身長差が大きく、「何歳の子が使うのかな?」などと具体的に思い描きながら、細心の注意を払って計画しています。

そうしたことを園の先生方と相談しながら、先生方と私たち設計士、施工する人たちがさまざまなことを企てます。たとえば、外壁に園名板をつける位置をどうするか、デザイン貼りのタイルに入れる差し色の配色をどうするか……。「こうしたらかっこいいかな」「かわいいかな」などと考えながらつくっていくのです。

園舎づくりにあたっては、こどもたちに対して、「大人になったら、みんなでこんなモノがつくれるんだぞ!」ということが伝わってほしいという気持ちで真摯に取り組んでいます。とても遠回しかもしれませんが……。となると、すこしも手を抜くことはできません。「園舎づくり」をとおして、私たちはまだ見ぬこどもたちと日々向き合いたいと思っているのです。
吉野達也(建築設計部)