• アート・デザイン

多様な想いが重なり合う、小さなアートのようなカフェ「カフェボロンタ」

公園とともに、多様性を受け入れる場所を

滋賀県大津市にある「滋賀県営都市公園びわこ文化公園」は、昭和54年に策定された「びわこ文化公園都市構想」に基づき誕生しました。
美術館や図書館、日本庭園や茶室などが点在し、緑豊かな自然と文化に触れられる拠点として、多くの人々に親しまれてきました。

その中で、子ども遊具のある芝生広場の目の前に新たに整備されたのが「カフェボロンタ」です。
私たち時設計は指定管理者の一員として、このカフェのコンセプトメイクから設計監理、空間づくりや運営助言に携わりました。

「ボロンタ」という名に込めた想い

店名の「Volonta(ボロンタ)」はイタリア語で「will」「intention」「wish」――「好きなように、思いのままに」という意味を持ちます。

訪れる人それぞれが自分の想いを抱え、公園でのひとときを過ごす。そこに彩りや音楽、会話の弾みが加わり、少しだけ特別な時間となる。そんな願いを込めて名づけました。

カフェボロンタは、単なる飲食施設ではなく、公園全体とつながりながら「境界のない場所」を目指しています。48席のうち屋内席はわずか4席。あとはすべて屋外や半屋外で、公園全体がまるでカフェの延長となるように設計しています。

多様性とアートの交差点

目指したのは、多様性を受け入れる公園づくりです。
自然が多様であるように、文化や楽しみ方も多様であってほしい。世代や感覚の違いを越え、それぞれの「心地よさ」を持ち寄れる場を育みたいと考えました。

この想いを可視化するために、カフェの背景にはアート的な視点からの表現も加えています。

たとえば、コンセプトを描いたビジュアルは、落書きのような小さな断片が、絵具のようににじみ、境界線を失いながら重なり合うイメージで表現しました。ひとつひとつの違いが、やがて大きな「色調」となって混ざり合い、新しい景色をつくりだす。

そして、空間そのものにも音楽やアートの要素を取り入れました。
壁を軽やかに駆け巡る彩(いろどり)、耳に届く遊び心ある音。
まるで一滴の絵の具がにじみ、重なり合ってひとつのアートになるように、人々が交わり新しい価値が生まれることを願いました。

コンセプトイメージ

カフェボロンタ「ボロンタラプソディ

こうした表現は、視覚や聴覚に訴える体験を通じて、訪れる人の心を解きほぐし、知らず知らずのうちに「多様であることの心地よさ」に触れてもらうための仕掛けでもあります。

公共の公園だからこそ、多様性を受け入れ、差異を価値へと変える場でありたい。
カフェボロンタは、その理念を象徴する存在なのです。

園舎設計で培ってきた「ならでは」の視点も

ロゴ、パッケージ、ユニフォーム、インテリアデザインまで一貫してコンセプトを反映させることで、空間全体に統一感を持たせました。

設計監理だけではなく、文化公園内のトイレやベンチといった公共施設の企画・助言も含め、園舎設計での経験を活かした総合的な取り組みとなりました。

「園舎設計」で培ってきた「人が安心し、心を開ける場をつくる視点」を、公園とカフェに応用することで、多世代が安心して集い、交流できるサードプレイスが生まれました。

【カフェボロンタ】cafevolonta

施設名:カフェボロンタ
所在地:〒520-2122 滋賀県大津市瀬田南大萱町1740-1 びわこ文化公園内
公式サイト:カフェボロンタ
公園情報:滋賀県営都市公園びわこ文化公園

この記事で紹介されている園・施設
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