【コラム】日比谷公園ガーデニングショーの軌跡1
時設計は「園舎設計」という枠を超え、「園庭」についての可能性を拡げる活動の一つとして他社と協働し、「Kids Jam」というコラボレーションを始めました。このプロフェッショナルチームで対外的になにか世の中に発信することができないかと考え、2015年からの3年間、日比谷公園ガーデニングショーに作品を出展しました。
「Kids Jam」プロジェクトで得た知見をもとに、〈緑×空間〉の意義を探る
「日比谷公園ガーデニングショー」とは、毎年秋に東京・日比谷公園で開催される国内有数のガーデニングショーで、2017年で15回目をむかえました。「都市における花と緑のありかたを、世界に発信する」という趣旨のもと、毎年市民や企業、多数の団体が参加している一大イベントです。全4種のコンテストがあり、チームKids Jamが出展した「ライフスタイルガーデン部門」では、「2×3m」という空間にさまざまな「想い」や「メッセージ」を込めた、思い思いの作品が見られます。
時設計が 「こどもたちの創造性、感受性、知性を信じ、大切にし、開き、豊かに発揮することのできる庭づくり」を目指して「Kids Jam」プロジェクトをスタートしたのは、2015年のこと。「Kids Jam」は、西武緑化管理株式会社とともに進めていたプロジェクトでしたが、このコラボ体制をより発展させること、そして「優れた屋外環境」を創出することを目的として、「園舎設計」という枠を広げ、日比谷公園ガーデニングショーへ作品を出展することにしたのです。
「一本の木」から生まれた、つながり、支えあう空間
〈西武緑化管理×時設計〉として、「園舎設計のプロ」と「植物のプロ」としてそれぞれの 「強み」を生かして成されたはじめての作品は、「Child Care Garden~子育ての庭~」。「木が生み出す空間」という着想からスタートしました。人間は、大きな木のそばにいれば、自然と心が落ちつくものです。枝葉を茂らせて日差しや雨をよけてくれる木の下の空間は、きっと古来から、私たち人間が身を守るための場所でもありました。「木の下にいれば、大丈夫」―そんな安らぎを生じさせる優しい空間を、「こどもを育む」という切り口で捉え、人も植物も動物も、あらゆる生きものがつながり、支えあう場として表現することを考えついたのです。
1本の木の周りには、その木を中心とした空間が自然とできるものです。2本あれば、その空間はますます拡がりを見せてくれる。当初の構想では、作品の軸となる木は1本だけの予定でしたが、「木の生みだす空間」を拡げるために増やし、最終的には7本にしました。その空間を板で囲み、生い茂る葉が屋根となる、「隠れ家」的な空間をつくりあげました。 その周囲には、暖色系のコスモスを中心に、シュウメイギク、リンドウ、フジバカマなど、秋らしい植栽を施し、うれしいことに、自然と共生してこどもを健やかに育む空間が評価され、本部門の最高賞である「東京都知事賞」をいただきました。
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