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【対談】<建築×造園>の連携で生みだすこどもの心の「原風景」1

対談者紹介

西武造園株式会社 専務取締役 大嶋聡氏
 西武緑化管理(株)代表取締役を務め、現在は西武造園(株)専務取締役。
株式会社時設計 代表取締役 菊地宏行氏

こどもの五感を豊かに育む「本当の園庭」を求めて

菊地宏行(以下、菊地) 私たち時設計が、園庭づくりにかかわりはじめたのは、2011年のことです。
そもそも私たちは園舎設計の専門家ですから、それまでは「建物を設計する」という意識がまずあって、園庭にそこまで重きを置いてはいませんでした。その当時の時代ニーズもありますが、園庭は「運動場」であって、運動会を行なう場であり、親が送り迎えに通る場だというイメージがあったように思います。しかし最近は、園庭における「自然」の重要性が叫ばれるようになりました。樹木を植え、池をつくり、野菜を栽培できる畑を設け……。そうした園庭で、こどもの感性を育もうという流れができつつあることを感じています。

大嶋聡(以下、大嶋) 7年前に菊地所長から園庭についての相談を受け、実際に園庭設計を手がけてみて、園舎と園庭は一心同体であり、切っても切れない関係にあることを痛感しました。

菊地 こどもたちの感性を高める、「本当の園庭」をつくりたい―そんな思いから、大嶋さんといろいろお話しして、「Kids Jam」のプロジェクトがスタートしました。お互いに園舎設計のプロ、造園のプロという意識で、「やらなければならない」という気概がありました。私たちは園庭のデザインはできますが、個々の植物の寿命や耐性、たとえばどの樹木がどう生長するのか、どんな虫がつくのか、木登りに耐えられる樹種はどれかなど、そうした知識はありません。そこで、当時西武緑化管理さんにいらっしゃった大嶋さんに話を持ちかけ、2、3園の園庭をつくりました。すごく手ごたえを感じましたよ。

大嶋 「自然豊かな園庭づくり」というのは、本来は造園の領域で、だからこそ私たち造園のプロの必要性を感じました。しかし「園庭を設計する」という意識は、現状ではあまり浸透していないように思います。「建物と園庭を一括でつくる」というケースも多く、もちろん図面があればそのとおりの園庭をつくることはできますが、私たちが時設計さんとつくる園庭においてまず重視していることは、「素朴な手づくり感」です。図面では表現しにくい「バナキュラーさ」というか、「自然発生的な不整形さ」を大切にした園庭をつくっています。

【対談】<建築×造園>の連携で生みだすこどもの心の「原風景」2に続く

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