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【対談】こどもの「夢」を育む美しい園舎を求めて4

対談者紹介

株式会社JSD 代表 徐光氏
 1995年に構造設計事務所(株)ジェーエスディーを設立し、代表に就任
株式会社時設計 代表取締役 菊地宏行氏

園舎をつくることは、幼少期の「記憶」をつくること

菊地 園舎を取り巻く環境は大きく変わりました。現代では認定こども園が徐々に増え、0歳から5歳までの発達に非常に大切な6年間、同じ場所で保育や教育を受けるこどもも増えていくでしょう。園舎は、「保育」や「教育」といったソフトの部分が最も大事ですが、そのソフトを支えるハード部分、すなわち「大切な空間」としての園舎をつくる側の責任の重さも感じます。

 本当にそうですね。幼少期のこどもたちにとって、空間や環境が与える影響は大きい。

菊地 こどもにとっては、太陽の光や風を感じることもとても大切で、それをどう採り入れるか、いつも心を配っています。みどり認定こども園さんの場合、徐さんは模型を作って、太陽の動きによって、どのように空間の中を光が移動するか、検証を行ないましたね。

 天井に並んだスリットから入る縞状の光がホールを移動していくさまは、とても印象的でした。そのときの連続写真が残っていますよ。そして実際建った建物でも同様の現象が起きています。こども時代のそうした環境の記憶が果たす役割は、大きいですよ。私もよく、こどものころに育った町や学校のことを思い出して、スケッチすることがあります。今、幼稚園や保育園に通っているこどもたちが、美しい園舎、快適な環境で日々過ごすことは、こどもたちの将来にきっといい影響を及ぼし、記憶を豊かにしてくれます。

菊地 現在は待機児童の問題があるので、「とにかくハコを増やそう」という流れになっています。しかし、我々が日々取り組んでいるのは「ハコづくり」ではなく、幼少期の非常に大切な時間をつつむ「環境づくり」だと考えています。その使命を、徐さんとは常に共有している。先生方はもちろん、保護者、こどもたち、そして地域の方々も笑顔になれる。そんな園舎をこれからも一緒に、丁寧に、楽しく、時にスリリングにつくっていきたいですね。徐さん、これからもよろしくお願いいたします。

 こちらこそ、よろしくお願いいたします。

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