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【コラム】日比谷公園ガーデニングショーの軌跡2

時設計は「園舎設計」という枠を超え、「園庭」についての可能性を拡げる活動の一つとして他社と協働し、「Kids Jam」というコラボレーションを始めました。このプロフェッショナルチームで対外的になにか世の中に発信することができないかと考え、2015年からの3年間、日比谷公園ガーデニングショーに作品を出展しました。

「雑草」を主役とした2年目の作品「そうそうの庭」

「日比谷公園ガーデニングショー」とは、毎年秋に東京・日比谷公園で開催される国内有数のガーデニングショーで、2017年で15回目をむかえました。「都市における花と緑のありかたを、世界に発信す翌2016年には、「そうそうの庭」を制作し、優秀賞の「コンセプト賞」をいただきました。これは、こんもりと生い茂る自然、普段何気なく目にする際には「雑草」とひとくくりにされてしまう草花を主役とし、約63種を、すべて在来種にこだわって植栽しました。その周囲には池を設け、やはり在来種にこだわり、カワニナやメダカなどが生き生きと泳ぐ姿を見てもらえる作品となりました。

<意匠×構造×造園>の三者による「鈴なりの庭」

2017年、<西武造園×西武緑化管理×時設計>という初の3社コラボレーションで、「鈴なりの庭―君だけの未来地図」を出展。準備を始めたのは、前回のガーデニングショーが終わったばかりの、2016年の冬のことです。ちょうどそのころ私たちは、ある園舎にシンボルマークとして設置するため、木材のプロに2本の大木を用意していただきました。2本のうちの1本は、その園のマークとしてはそぐわないけれど、枝ぶりがとても良い、すばらしいヒノキでした。そこで次のガーデニングショーには、このヒノキを使って作品をつくろう、と決めたのです。その木をテーマとしてミーティングを幾度も重ね、「きみちゃん」という女の子を主人公とした、すてきなストーリーが生まれました。作品を完成するまでの道のりは長く、最初は「山取り」です。これは枝を残して皮だけを剥ぐ作業で、相当な技術を要します。 細い枝までをしっかり残して皮を剥いた直後は白っぽいのですが、しばらく時間を置くと、なんともいえないよい色合いに変化します。そのヒノキの上部に球状の小屋を設け、小屋には「色とりどりの石」を模したウレタンフォームを埋め込み、屋根を4000本の花で茅葺きしました。木の周囲には、ブドウにコスモス、エリンジュームにムギワラギク、ケイトウ、セロシア、ワレモコウなど、51種類もの色とりどりの植栽を施しました。

「手づくり感」のあふれるあたたかな外見ですが、それは緻密な構造計算のもとに成り立 つ、安全な空間です。7メートルという高さのある「建築」は、激しい風雨にも耐えられるよう、足下は重さ3トンの鉄板を敷き、鉄の胴に木を差し込んでがっちりと固定しました。それを感じさせないよう、高さ1.2mのデッキを設置し、こどもにもおとなにも作品の中に足を踏み入れられるようにしました。外から作品を見るだけでなく、作品の空間の中に実際に入ってもらうことによって、誰もがストーリーの主役となり、作品をより身近に感じてもらうための工夫です。言い換えれば、「それぞれのストーリー」を創造してもらうための試みともいえるでしょう。開催期間中には二度の台風に見舞われながらも、小屋本体が揺らぐことはなく、屋根のスターチスの花は一本も飛びませんでした

【コラム】日比谷公園ガーデニングショーの軌跡3へ続く

この記事で紹介されている園・施設
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